用語の説明(歯内治療) |
根管治療
簡単に言うと「ネの治療」です。神経は有るが、炎症が有って除去しなければならないときは抜髄治療と言います。
いわゆる歯髄炎と言いますが、保険用語では『PuL』です。歯髄炎にはう蝕による急性化膿性歯髄炎、慢性潰瘍性歯
髄炎、慢性増殖性歯髄炎、う蝕のない急性化膿性歯髄炎が有ります。
他方神経が死んでいたり、以前に根の治療をしたが再度悪化した場合の処置は感染根管治療と言います。
根尖性歯周炎と言い、保険用語では『Per』です。根尖性歯周炎にも急性化膿性根尖性歯周炎、慢性化膿性根尖性
歯周炎、急性単純性根尖性歯周炎が有ります。
根尖性歯周炎を放置すると、MRONJの発症の原因となることがあり得るので、注意が必要です。
根管拡大
昔は根管拡大に係わる点数が有りましたが、現在は有りません。
神経が入っていたスペース(又は前回の治療で根管内に充填されていた物を除去して)を拡大して汚染物質を除去し
て、根充剤(通常はガッタパーチャという樹脂)とシーラー(歯質と根充剤の隙間を補填し封鎖する)のスペースを確保
する為の作業。丁寧にやるほど赤字をもたらす。
抜髄処置
炎症を起こした神経を除去する事です。歯により点数が異なります。根が一根と二根、3根以上で点数が変化する。
上顎の第1大臼歯や下顎の第1大臼歯にでは4根のケースが多いが、最近は少し点数に反映されて来ていますが、
手術用顕微鏡(当院は所持している)とCBCT(これも院内にあります)を使用しないと加算点数(400点)が算定出来
ません。ただし、CTを撮影するには1170点がかかります。約3,500円が余計にかかりますが、威力はあります。
感染根管処置
死んでしまった歯髄(失活歯髄といいます)や、以前治療したが根の先に再度病巣が出来てしまった場合に内部を拡
大して、感染物質や壊死歯髄を除去して根管拡大を行います。
点数は抜髄と同じように単根、2根、3根とありますが4根の設定は上記と同じです。
根充
根管内を拡大してから根管内が無菌状態になったら、内部を緊密に充填します。
通常ガッタパーチャとシーラーを用います。当院ではシーラーにサンメディカルのスーパーボンドシーラーを主に使用し
ています。理由は歯根破折を少しでも防ぎたいからです。
現在根充時に「加圧加算」と言う点数があります。単根118点複根140,3根164点ですが、それにも4根の点数は
ありません。加圧根充を算定するには事後のレントゲン撮影が必要条件です。
ラバーダム
根管治療は内部を無菌的に処置しないと治らないとされています。唾液の中には沢山の細菌が浮游しており、細菌
が内部に入らないために歯をゴムの膜で隔絶する方法です。
使用していないのに算定する歯科医が居たため、前回の点数改訂で保険から無くなりました。
根管長測定器
根の長さを測定する器械です。私の大学では学生時代から必ず使用する事を教わり、根の治療時に根の先の組織を
傷害したり、根尖附近の根管内を確実に消毒するために使用するものです。根充時に過不足のない緊密充填をする
ためには必須の物です。
シーラー
根充時に根管壁とガッタパーチャとの隙間が出来ないように使用する糊のような物。細胞に毒性が無く、収縮しない
で経年変化が少ない物が望まれます。当院で使用している物は「スーパーボンド シーラー」です。全ての根管充填
にスーパーボンドを使用しています。
シーラーを使わない先生もおられます。流動性の良いGPを使用するから必要ないというお考えですが、一時試しま
したが、現在の方法に直ぐ戻りました。
側枝
根管は1本の管ではなく、枝分かれしております。分かれて再度合流したり川の流れのように複雑です。
根管治療時には全ての側枝には道具が入りませんので到達が不可能です。側枝の内部は薬剤で蛋白を溶かしたり
、無機質を熔解して対応しています。 全ての側枝に対応が不可能なため、根管治療の治癒率が高くならないとされ
ています。
フィステル
根尖部の病巣から排膿が口腔粘膜に出てくること。
口腔粘膜では無く顔面等の皮膚から出る場合は外歯瘻といわれます。
関連痛
下の歯が痛いのに、上の歯が痛いという感じがして上の歯が痛いと言って患者さんが受診することがあります。
逆もありますが、上下の神経が同じ神経節を経由して中枢に届くために痛みが強いときは混信して間違うことがあり
ます。訴えの歯のレントゲンを撮影しても異常が無い場合、対顎の歯のレントゲン診査を行うことが必要です。
私も小さい頃、これにより健全な歯を抜歯されました。
歯根破折
最近問題になっている事象。特に根充されて居る歯が横方向(少ない)や縦方向に破折すること。
有髄歯でも噛み合わせる力が強かったり、歯ぎしり、くいしばりの強い方では主に水平方向に割れることがあります。
割れても破折直後であれば、接着して残すことが可能です。保険適応外です。
再生歯内療法(リバスクラリゼーション)
再生歯内療法とは、歯髄が死んで歯根の生長が止まってしまった歯に対して特殊な処置を行うことで、歯根のさらな
る生長を促す治療法です。この処置により、歯髄が死んでしまった歯根未完成歯を長期的に維持することが可能にな
りました。
歯根未完成歯
その名前の通り、歯の歯根がまだ完成していない歯のことです。乳歯から永久歯に生え替わる時期に歯茎から出て
きますが、萌出したばかりの歯の歯根は歯茎の中で生長途中の状態です。萌出して徐々に歯根が生長して完成して
いくのですが、その途中で歯髄が死んで歯根の生長が止まってしまった状態を歯根未完成歯と言います。
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